物が二重・三重に見える原因
何らかの原因によって、物が二重や三重に見えることを「複視」といいます。複視は大きく、「単眼性複視」と「両眼性複視」に分けられます。
①単眼性複視
片目で見たときに、物が二重・三重になる複視です。
②両眼性複視
片目で見たときには正常であるものの、両目で見たときだけ物が二重・三重になる複視です。
片目だけ物が
二重・三重に見える場合
片目を隠しても二重・三重にみえるのを引き起こす疾患とは?
単眼性複視の場合は、主に以下の疾患、屈折異常が疑われます。
白内障
白内障とは、水晶体が濁ってしまうことで、さまざまな目の症状が引き起こされる病気です。加齢を主な原因としており、80歳以上の方のほぼ100%に認められます。
単眼性複視の他、目のかすみ、明るさがやけに眩しく感じるといった症状を伴います。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは、見え方を司る黄斑部にダメージが蓄積して発症する病気です。単眼性複視の他、視界のゆがみや中心暗点、視力低下といった症状を伴います。加齢、紫外線、肥満、遺伝、喫煙、食習慣の欧米化などを原因とします。
乱視
角膜が水晶体のゆがみによって、外から入ってきた光の焦点が1つに定まらず、複数できてしまう屈折異常です。単眼性複視が主となる症状です。「ブレて見える」「ぼけて見える」と仰る患者様もおられます。
両目とも物が二重・三重に
見える場合
両目で見た時だけ二重・三重に見える場合
両眼性複視の場合は、以下のような疾患が疑われます。
外眼筋の疾患
進行性外眼筋麻痺、バセドウ病、一部の筋ジストロフィーなどの外眼筋の疾患を原因として、両眼性複視をきたすことがあります。
脳中枢神経の疾患
顔面神経麻痺や三叉神経障害、脳血管障害、脳腫瘍、脳炎、多発性硬化症、脳動脈瘤、動眼神経麻痺などの症状の一つとして、両眼性複視をきたすことがあります。
こういった疾患が疑われる場合には、速やかに専門の医療機関をご紹介します。
斜視
目の位置がずれる斜視を原因として、二重三重に見える場合があります。
重症筋無力症
重症筋無力症とは筋肉を繰り返し動かしていると筋肉が疲労することで、力が入りにくくなる病気です。眼に症状が現れる場合には、二重に物が見える、まぶたが下がることもあります。当院では、神経眼科を専門とする医師が積極的に治療を行います。
物が二重・三重に
見えたらどうしたらいいの?
(片目・両目)
しっかり休息と睡眠をとりましょう
まずは、十分な休息と睡眠を確保することに努めてください。やむを得ず長時間のパソコン作業をする場合にも、休憩を挟んだり、意識的に瞬きの回数を増やすなどして、眼と身体が疲れないようにすることが大切です。特に就寝前は、パソコン、スマートフォン、テレビ、ゲーム機などのモニターを集中して見ることを避けましょう。
放っておかずに眼科へ行きましょう
休息・睡眠をしっかりといっても改善しない場合には、すぐに眼科を受診してください。単なる疲れということもありますが、中には重い目の病気、脳の病気が隠れているケースも見られます。もちろん、物が二重・三重に見えた時点ですぐに眼科を受診するのが、もっとも安心です。